『愛の妙薬』お礼の言葉です。
2025年10月26日(日)ベネックスブリックホール、オペラ『愛の妙薬』にご来場頂きました皆様、ありがとうございました。心よりお礼申し上げます。
あの大感動の日から2週間、未だその余韻冷めやらぬ中、皆様へのお礼が遅くなりました事、お詫び致します。演出の馬場先生、竹内マエストロ、舞台監督の井之上様、オーケストラの平井様、そして、ソリストの皆様方言葉に尽くせぬほどに、お世話になりました。ありがとうございました。
皆様と共に作り上げた、広場のオペラ『愛の妙薬』はまさに舞台も客席も、ひとつの大きな広場となってながさきピース文化祭のテーマ『文化をみんなに!』届ける事ができた時間でした。『愛の妙薬』は本当に皆を幸せにした妙薬でした。
公演翌日の長崎新聞にも、オペラ『愛の妙薬』の記事が大きく載っていました。終演後、ご来場頂いたたくさんのお客様から、身に余る賞賛の言葉、お礼の言葉を頂きました。
ながさきピース文化祭は、まだ続いていますが、あの『愛の妙薬』が作り出した、演者とお客様、会場が一帯となったあの雰囲気、感動は、ながさきピース文化祭で企画された演目中で最高の作品だと自負しています。
『偉大なるアマチュアリズム』に、プロの力が加って予想を遥かに超えた景色が作り出されました。
終演後、お客様のお見送りをしようとエントランスロビーに出た私達が目にしたものは、あのブリックホールの長い階段を、笑顔、笑顔、笑顔で降りて来る千数百名のお客様でした。
私達、長崎居留地男声合唱団、長崎居留地女声合唱団オルテンシアは、クレドを持つ合唱団です。そのクレドの最初の言葉は、『音楽がまちにあふれる〝しあわせ″を、私たちは長崎居留地から世界にとどけます』と書かれています。
『まつりの後は、次のまつりの始まり!』
これからも、長崎居留地男声合唱団、長崎居留地女声合唱オルテンシアは、自ら楽しみながら『音楽を通したまちづくり』目的として市民活動続けて参ります。これからも皆様のご支援、ご協力をよろしくお願い致します。
長崎居留地合唱とオペラの丘プロジェクト
代表 桐野耕一
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オペラ『愛の妙薬』のもう少し深いあらすじは・・・
【時と場所は・・・】
19世紀、スペインのバスク地方の村です。
【登場人物は・・・】
アディーナ(ソプラノ):地主の娘
ネモリーノ(テノール):村の若い農夫
ベルコーレ(バリトン):村の守備隊の軍曹
ドゥルカマーラ(バス):いかさま薬売り
【第1幕は・・・】
時は19世紀、舞台はスペイン、バスク地方の小さな村。美しいけどちょっと高飛車な村娘アディーナは、『トリスタンとイゾルデ』の物語を村人たちに読んで聞かせています。トリスタンの飲んだ惚れ薬によって恋に落ちたイゾルデ姫。そんな薬が本当にあったらいいなと陰からそっと聞いていたのは、アディーナに恋していた純真無垢な若い農夫ネモリーノでした。
そこへ村の守備隊の軍曹ベルコーレが現れます。見るからに頼もしいベルコーレはアディーナを口説こうとしますが、アディーナは惹かれつつもここはかわしておきます。その様子を見て焦ったネモリーノもアディーナに勇気を出して告白しますが、相手にされません。しかし彼女は内心では、純粋な心を持つネモリーノを気にかけていました。
村の広場には、金色の馬車に乗った薬売りのドゥルカマーラが到着しました。万病の特効薬を売るドゥルカマーラに、農夫ネモリーノは、あのイゾルデ姫が飲んだ『愛の妙薬』はないかと尋ねます。いかさま薬売りのドゥルカマーラは安物のボルドーワインのラベルを貼り替えて売りつけ、明日になれば効き目が現れると言います。その間にドロンしてしまおうというわけです。
これで「明日にはアディーナは自分のものになる」という態度をとったネモリーノは、彼女のプライドを傷つけ、彼女はベルコーレ軍曹と結婚すると言い出します。しかも、今日中ということになり、ネモリーノは大いに慌てたのでした。
【第2幕は・・・】
ネモリーノは『愛の妙薬』の効き目をはやく出すため、もう1本飲もうと思いますが、お金がなくて買えないため、命の保証も顧みず軍隊に入って、契約金を手に入れます。実はちょうどそのとき、村の娘たちの間では、ネモリーノの叔父さんが亡くなって莫大な遺産が彼に転がり込んだという話で持ちきりになっていました。ネモリーノの周りに集まる娘たちに、何も知らない彼は薬の効き目が現れてきたと勘違いします。
一方のアディーナはそんなおかしな光景を見せられ困惑しますが、ドゥルカマーラからネモリーノにまつわる一連の事情を聞きます。命を投げ出す覚悟で軍隊に入ってまで、妙薬を手に入れようとしたネモリーノの愛情の深さに、彼女は涙を見せるのでした。
アディーナの涙にネモリーノも気が付きます。アディーナがネモリーノの入隊契約書を買い戻し、二人は結ばれました。ベルコーレ軍曹は、女は他にもたくさんいると言って気にしません。結局、「愛の妙薬」の効き目はありました。薬売りドゥルカマーラは村人に見送られて馬車を出発させたのでした。
【解説】
1 ドニゼッティの人気オペラ
ドニゼッティはその生涯で70にも及ぶオペラを作曲しました。その中でも、きらりと光る名作として人気が高いのが、この『愛の妙薬』です。初演されたミラノのカノッビアーナ劇場の劇場主の依頼で作曲を引き受けたドニゼッティは、このオペラをわずか2週間で完成させたと言われています。ドニゼッティの筆の速さは有名で、職人芸の域に達していました。初演も大成功で、1か月連続で上演されています。
2 哀愁漂うオペラ・ブッファ
物語は『愛の妙薬』をめぐるたわいもないコメディーとなっていますが、オペラの中では時折、実に哀愁漂う音楽が耳に入ります。喜劇の中に、ふと心にしみる音楽が混ざっているという不思議な雰囲気がとても魅力的です。アディーナも単純に高飛車な地主の娘ではなく、内心はネモリーノに心を寄せ、ネモリーノもただの野暮な男ではなく、純粋さから引き出された熱い心を持っています。こうした二面性を楽しめるオペラです。
3 アリア『人知れぬ涙』
やはり何と言ってもネモリーノが第2幕で歌うアリア 『人知れぬ涙』が最大の聴きどころです。テノールのアリアの中でも指折りの名曲として、オペラ・ファンに親しまれているこの曲をお目当てに、『愛の妙薬』を観たいと思う人も多いのではないでしょうか。このアリアのほかにも、名アリア、名二重唱が目白押しなので見逃しませんように!
ちくちく愛妙会・・オペラ「愛の妙薬」のスピンオフ
オペラ「愛の妙薬」で大切なものの一つとは?それは衣装です。舞台は19世紀、スペインのバスク地方の村。私たちが演じるのは農民です。自然素材を使用したものであり、色も派手なものではなく金属製品は使用されない。勿論ベルトもございません。そのような条件で素敵な衣装を探し出すのはなかなか難しいというのが正直なお話です。
それでは自分たちで作ってしまおうという声からできたものが”ちくちく愛妙会”。今回はオペラ「愛の妙薬」のスピンオフでもある素敵な物語を皆様にお知らせしたいと思います。
題:ちくちく愛妙会
「オペラは総合芸術なり」
5月3日:楽しい連休中、長崎居留地女声合唱団オルテンシアの連絡ラインのこのような投稿から“ちくちく愛妙会”が始まりました。
「Mです。趣味で洋裁をやっております。愛の妙薬の衣装制作を打診されているのですが、一人ひとりに合わせて調整するのは矢張りなかなか難しいです。そこで提案がございます。みんなで一緒にワイワイ言いながら衣装づくりをいたしませんか?自分で作った衣装で舞台に立つのは格別の喜びだと思います」
この呼びかけにオルテンシアから総勢11名の申し出があり、ここに愛の妙薬衣装制作集団“ちくちく愛妙会”がスタートしたのでした。
短大の被服科卒業生や、自作のウェディングドレスで結婚式を挙げた”つわもの”もいれば、家庭科の授業で叱られた経験から「針と糸を見るのもいや!」という”つわもの?”もいらっしゃいます。11名の大半が中学校以来の体験となりそうですが、それでも「やってみよう!」と志したその意気やよし!
それでは、しばし活動の様子を実況中継風にお伝えいたします。
「えええええ~・・・・なんで直線と曲線がつながっと?信じられん」
稲城市民オペラの会員さんから提供していただいた型紙は、本格的な立体裁断。つながるはずがないと思えるパーツをつなげたら、何と!美しいバストラインのビスチェが出来上がるのでした。
「うわあ~すごーい!感激!」
「せんせーい!布と布が合いません。しくしく・・・・」
すべて何でもトライ&エラーの繰り返し。はみ出した布を切ってしまえば問題は解決。ほうら出来上がり。
「人生で初めての感動かも・・・・」
皆の手から、次々とビスチェやエプロン、スカートが出来上がっていきます。そして我が家の一室は歓びの声が響き渡ります。
オペラは総合舞台芸術だと言われます。私は、総合舞台芸術の意味を、音楽・美術等とは異なる分野の芸術の集まりだと捉えていたのですが、このちくちく愛妙会での制作体験を通して、総合の意味をもっと広く捉えるようになりました。
人が集い、そこに絆が生まれる。一人ひとりの言葉が行為が、より素晴らしいものを創り上げる。そしてそれを見てくださる観客の皆さんの心の中にも、素晴らしいものが届いていく。人とものと行動が一体となってその時間を皆で共有する芸術。それが総合舞台芸術だと思えるようになりました。
さらに愛の妙薬が『広場のオペラ』だと言われる所以もわかりました。
私達は10月、自分たちで制作し調達した衣装、自分たちで作った小道具・大道具を使って、私達の『広場のオペラ』を上演いたします。私達の感動が観客の皆様に伝わり心がつながって素敵な時間が醸し出され、この体験が日常生活に活かされ人々の幸せに広がっていきますよう心から願っております。
さて、衣装の手直しがありそうです。まだまだ“ちくちく愛妙会”の活動は続きそうです。
投稿:sara/M

